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入学前読後レポート(3)

学生たちこんなことしてます! 2009/02/06

今回は『異人論』の読後レポートです。コメントは赤字、引用は青字にしています。

『異人論 民俗社会の心性』の読後レポート
                            AT
 この図書を読んで、一口に『異人』といっても様々な媒体から様々な観方、解釈の仕方があることを知った。民俗社会内部の異変の理由付けとしての異人殺し。女性に対する潜在的な恐怖心を表象する山姥や女の妖怪。「めでたしめでたし」の昔話の裏に巧妙に隠された異人殺し。中でも特に、人間の文化の共通の問題まで掘り下げている『恐怖の存在としての女性像 化物退治譚の深層』に興味を引かれた。ジェンダーに興味があり、伝承・伝説や妖怪からそれぞれの時代における男性の立ち位置、女性の立ち位置というものを調べたいと思っているからだ。
(佐々木意見:このように自分の関心、つまりジェンダーに焦点をしぼって、『異人論』を読み解く視点は、論文を書く際に有効です)

 図書(→本書とした方がいいでしょう)では、ウリシー(→もう少し場所を詳しく説明した方がいいでしょう)の「鉄の歯」の昔話を用いて(→何を?)論じている。(→この昔話には)「ンギ・パラン」という鋭く固い歯の生えた膣をもつ妖怪が出てくる。この昔話を、文化史的な観点から評価すると、昔話分類の「ヴァギナ・デンタータ」(歯の生えた膣)に分類される。諸説あるようだが、最近の文化史的な見解は「ヴァギナ・デンタータ」モティーフは東アジア起源という考えが(→成り)立っている。ウリシーで採集されたこの昔話は、素朴に文化史的考察を加えると、この種の説話が豊富な台湾を中心とする東南アジアの海岸部から伝播したということになる。図書の中で、金関丈夫の抜歯習慣との関連性の仮説を紹介している。しかし、小松氏自体は、ウリシーに抜歯の習慣があると聞いていないこと、昔話の顛末の違いを理由に、このウリシーの「鉄の歯」の昔話が、単純に東アジアの抜歯文化で生じた「ヴァギナ・デンタータ」説話がウリシーにも伝播したものとすることを不服としている。小松氏は、ウリシーの「鉄の歯」の昔話と日本の「三人兄弟・化物退治」型の昔話は形態論的構造が類似していることに注目した。(→これは昔話の構造分析という手法によるものです)「三人兄弟」と同じような型の昔話に登場する化物は、鬼婆、美しい女(山姥の娘)、大蛇であることが多い。日本の民俗社会では山には山姥が棲むと考えられた。こうした伝承の形成された理由としては、折口信夫の、本来は山の神に仕える巫女についてのイメージが零落したものという説。柳田国男の、平地とは異なる生活形態をもった「山の民」の女や発狂して山に入った女、山の民にさらわれてその妻になった女などについての伝承から生じたとする説が有力視されている。(→民俗学の研究には、折口信夫と柳田国男の考え方が重要です)
これをうけて、私の中に疑問が生じた。図書(→本書)の本筋とは若干ずれた疑問になるが、折口信夫の『巫女についてのイメージの零落』(→一重括弧を使用。二重括弧は主に単行本や作品の時に使用します)とはどういうことだろうか。そもそも『イメージ』(→一重括弧を使用)のような曖昧な概念的なものが零落したりするのだろうか。(→曖昧な概念だからこそ人々の間で価値が浮き沈みするのだと思います)他の民俗学者が彼のこの説についてどのような解釈をしているのか、参考に調べてみようと思う。
 図書(→本書)の内容に戻る。民俗学では、実際に山に棲む女性についてのイメージから山姥伝承が生じたと考えている。それを示唆する資料も数多いが、歴史的考察だけでは山姥がその民俗社会においてなにを表象しているか、読み解くことはできない。そうした伝承の背後には、民俗社会の固有の文化の次元に留まらないもっと深い次元の、人間の文化に共通する問題が潜んでいる。それを小松氏は、図書(→本書)において心理学と文化人類学の概念を用いて展開した。
 ユング派の研究者の「太母」(「恐ろしい母」と「善い母」)の概念を用いて日本の昔話を分析すると、「太母」に相当する神話形象の代表的なものが「山姥」であった。
(ユング派の研究者の考えによれば、精神的成人を意味する「個別化」に至るためには、私たちの意識的人格を統合している「エゴ」(自我)を普遍的無意識内にある元型的な「セルフ」(自己)から分離させ、普遍的な無意識からの人格の独立を保ちつつ、なお「セルフ」との結びつきをもつことで成し遂げられるという。そして、それはユングのいう「呑み込む太母」、ノイマンのいう「恐ろしい母」の脅威を克服することによって達成される。「太母」とは混沌・無秩序・女性原理を意味しており、人はこれを退治することによって自我つまり男性原理、秩序ある世界を獲得するのである。)P112・113引用(→引用は一重括弧で、段落を変えた方が良い。)
(→ここも段落を変えましょう。)

河合隼雄は、山姥の両面性を明らかにし、山姥退治物語は否定的な太母の克服を、福を与える山姥は肯定的な太母をテーマにしているとみた。「三人兄弟」型の昔話やウリシーの「鉄の歯」の昔話は、三人兄弟の末っ子だけが「太母」を退治し、人格の独立=「個別化」に成功する、ということが、昔話の本質である。ウリシーの「鉄の歯をもつ膣」のイメージは、呑み込むこと、男性的自我を破壊することのメタファーである。文化人類学では、「山姥」の徹底した人類学的研究は未だ行われていないが、象徴論的女性研究の成果によって「山姥」や「鉄の歯」の妖怪の問題を読み解く鍵が与えられた。社会制度や歴史創造の中枢を担っているのは常に男性であり、女性は文化・社会の中心から排除された存在であった。社会の文化の一部としての観念体系のなかで女性は男性よりも「自然」に近い存在とされ、それ相応の扱いを受けてきた。
(オートナーは、そのようにみなされる理由を三つあげる。第一の理由は生理的レベルに属するもので、女性は、出産・月経など男性がもたない生理機能をもつことによって、男性よりも強く生物学的条件に支配されている。第二の理由は社会的なもので、女性には出産・授乳・幼児の養育といった社会的役割がゆだねられている。これは社会的役割であるが同時にまた生物学的にみても女性の役割であって、それゆえに女性は男性に比べて家庭内の仕事に結びつけられ、公的な場から排除されている。第三の理由は心理的なものである。女性の心理は、その社会的役割や社会化の過程あるいは月経などの生理的条件などを通じて、男性よりも具体的で主観的・情緒的な傾向が強く、したがって社会制度を維持し展開させていくのに必要な客観的・抽象的能力は男性より劣っている。)P118・119引用(→引用は一重括弧で段落を変える)
(→この文章も段落を変える)

女性は「自然」に近い存在とされるも、男性の創った「社会・文化」(人工)に参与した。その上でさらに「自然」と「社会(人工)」との橋渡し的な存在であるため、両義的性格が賦与された。山口昌男は、これをふまえ、女性の宇宙論的役割について考察した。彼は、女性は潜在的「異人」の役割を担わされているとした。女性がコントロールできない「自然」を有しているから、男性はそれを利用し、「社会」の中で支配しようとしながらも女性を恐怖するという矛盾を抱え込んだ。
(ラヴェンヒルが指摘したように、人間=男は文化を創り出すが、文化は人間を創り出すことができない。)P121(引用箇所同じ)
(段落を変える)
「山姥」や「鉄の歯」をもつ妖怪、「大蛇(=美女)」は、究極的には「自然」に近い潜在的な「他者」としての「女性」、男性たちが恐怖する根源的かつ制御しえない力をもつ女性のイメージを表現し、これらの昔話は男性の心の深層部の女性に対する恐怖心や女性と性交することに対する恐怖を母胎にして生み出されたといえる。
 これをうけて私は、具体的な伝承・伝説、昔話、妖怪の読み解き方の実践の手法を垣間見、さらに「男性の怯え」というキーワードを得た。この「怯え」というキーワードは、この図書(本書)においての全ての事例に共通しうるものである。民俗社会内部の異常に対する「怯え」、女性に対する潜在的な「怯え」、自分や家族の利益、あるいは保身のために行った犯罪に対する「怯え」、さらにそれが世間に露見することに対する「怯え」。ほとんどの社会において男性主体の社会であるから、その影響は如実に表れるはずだ。ということは、一概に云えることではないが、男性の心性を探っていけば自ずと民俗社会の心性や日本の妖怪などのバックボーンに迫れるのではないだろうか。特に、今のジェンダー問題は女性視点のものばかりが際だって取り上げられているような気がする。少なくとも、今、私が個人的に調べている段階ではそのようなものが多い。ここであえて、男性視点でジェンダーの流れや問題点などを調べてみることに価値はあると思う。これを、大学入学後の学習・研究のテーマの柱の一つにしようと思う。
(→レポートの出だしに指摘したジェンダーの視点に最後にも戻っている点が良くできています。ちなみに佐々木も山姥や三人兄弟を、ユングの考え方に従って、地理学的に分析しています。興味があれば、佐々木高弘著『民話の地理学』古今書院、2003年を図書館ででもお読みください。4月になったらこの点を一緒に議論しましょう。)
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