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色彩・ファッションから見る若者の都市

学生たちこんなことしてます! 2012/07/08

M. K
1. はじめに

 私は今回のレポートを書くにあたり、小林忠雄氏の『都市民俗学 ―都市のフォークソサエティー―』という本の中から、第四節「都市の芸術文化」で用いられている色彩環境による分析方法で東京の都市を見ていきたいと思う。

 第四節「都市の芸術文化」では、泉鏡花の小説『照葉狂言』で克明に描かれる今様能狂言の小屋掛の舞台状況から、明治初年の金沢の芝居小屋や見世物小屋の様子を知ることができ、さらに金沢という地方都市の色彩の文化を読み解く事が出来るのではないかと考えられている。
 『照葉狂言』の中では色の表現が「金魚・緋鯉、杏・青梅・李・青楓…(省略)」(p.225)などのように繊細に描写されているという。これらには泉鏡花の作品と切り離せない選択もあるだろうが、それとは別に好みの色、印象深い色とが組み合わさっているとも考えられ、そこから金沢という地域社会のもつ色の民俗性に注目できるではないかと考えられる。泉鏡花の場合は赤・白・銀・紫・黒色が使われることが多いようだが、この色は金沢にとって次のような意味があると説明されている。

 金沢では白色の雪のイメージもさることながら、白山信仰の象徴としての宗教的なシンボリズムが底部に流れ、赤色は仏教的な意味の浄化性を感じさせ、金色は奈良時代の役小角依頼の不老不死の象徴としての金に、あるいは金箔を施した仏像(阿弥陀如来)や仏壇の荘厳さを表徴し、銀色は女性の髪飾りや櫛・笄の装身具に、紫色は加賀室生流能楽の小紫色の象徴性にといったものを原点として、人々に都市的な色彩価値を植えつけていったものとみられる。(p.226)

こうした都市のイメージを高める色彩環境として、特に人々の晴着と歌舞伎の関係が挙げられている。華美豪奢を誇る歌舞伎の世界が、庶民に多大な影響を与え、風俗に流行を生み出していったとされる。


今回のレポートでは、小説の中に表現される都市の色彩イメージを見ていきたいと思う。それを実際の風景に重ね合わせることで、小説から見る都市のイメージが現実とどのような関係にあるのかも見ることが出来ればいいと考えている。
次に歌舞伎からの影響を受け流行を生み出していった、というような大衆と都市の関係を現代の若者のファッションから見ていくことが出来ないか検討してみたい。
全体として、現代の若者たちを通して都市を見ていくことにしたい。


2. 『池袋ウエストゲートパーク』とgoogleの中の池袋

 「都市の芸術文化」では泉鏡花の『照葉狂言』から分析が行なわれていたが、ここでは石田衣良著『池袋ウエストゲートパーク』シリーズの中で描かれる池袋の色彩を見ていきたいと思う。このシリーズはタイトルの通り池袋の西口公園を中心に物語が動いている。登場人物たちは作品ごとに歳を重ねてはいるが、若者層が主になっている。彼らから見た都市とは一体どのような色彩環境にあると考えられているのだろうか。

 まず、作品の中で出てくる色彩の例をいくつか挙げていきたいと思う。
 茶色い残雪、(鳩が)灰色の旗になって、灰色にくすんだ、ごちゃまぜの濁った色、黒々としたアスファルト、淡く白い雲、ぼんやりと青い空、淡いブルー、新緑の木々、深い緑の葉、朱色の木の芽、赤色灯、夕焼けに負けないほどの・色とりどりのネオンサイン、シルバーブルー、白、など様々な色の表現がなされている。
 これらを整理してみると色彩は、白・黒・灰色・シルバーなどのビルや建物・無機物の表現、空の色の表現、緑や朱色などの自然物の表現、赤やネオンサインによる照明の表現として現れている。
 自然物は池袋西口公園や並木道、公開緑地など人工的に作られた自然であることが多かった。またその表現の用い方も、常に継続して自然がある、というよりは断片的にあるものを見つける・眺める、というものが多い。ビルに関しては、「トヨタ・アムラックスのシルバーブルーとサンシャインシティの白にはさまれた」(『灰色のピーターパン』p.11-12)といった具体的な例が挙がることもあり、そうした建造物が都市に住む人々にとって一種のシンボルのようになっているのではないかと考えられる。赤色灯やネオンサインなどの色彩が目立つのは物語の舞台が繁華街を中心としており若年層が主人公であるため、多く登場したのではないだろうか。

 また色彩ではないが、小説内で目立つ街の表現として「ガラスの森」「ネオンの谷間」「コンクリートとガラスの街」というような無機質な街をイメージさせるものが多く見られる。
 では、これらの無機質なビル群と断片的な自然という都市の表現と、実際の写真を見比べるとどのようなことに気がつくのだろうか。googleの画像検索から比較を行なってみたいと思う。今回、googleでの検索には「池袋 風景」のキーワードを用いた。別紙資料①②がその結果の一部になる。
 こうして並んだ写真を見てみるとその色彩は、青、白、灰色、緑、ネオンカラーが目立っていることがわかる。木々や桜が一部見えることや、高層ビルから離れたところの風景を見ると自然物も断片的に存在しているようだ。
つまり写真から見る色彩環境は小説から取り出せる要素とほぼ同じであるといえ、どちらの表現方法をとるにしても都市の表立ったイメージは固まっているといえるのではないだろうか。
 ちなみに検索のキーワードを「東京 風景」と変更してみると、自然物は富士山以外に確認することが出来なくなり、東京タワーや高層ビルなどといったより象徴的な無機物に注目が集まっている様子が見られる。色彩も青、赤、黒、灰色に絞られている。(別紙資料③)

 最後に、人々の想像する都市の色彩と風景にはどのような関係があるのか、2ちゃんねる・OKWave・Yahoo!JAPAN知恵袋で、都市のイメージカラーに関する話題が出ていたので少し取り上げておきたいと思う。
これらの3つの掲示板やトピックの中で挙がった色は、(メタリック)シルバー、赤、緑、青、黒+オレンジ、灰色、水色、黒、黄緑であった。これらは昭文社都市地図の表紙色や、野球のユニフォーム、山手線、東京タワーと雷門、スマートなイメージ、全てを飲み込んでいるイメージなどから来る印象だということだった。(別紙資料④⑤)

 小説、写真、人々のイメージといった色彩から現在の東京の都市を見てみると、建築物や電車などのように多くの人々の目に付きやすいもの、そこに住む人々の印象、娯楽から色彩のイメージが出来ていることがわかった。


3. ファッショナブルな気質と都市の非安住性

 次に都市と大衆・常民の関係を見るため、若者のファッションを見ていきたいと思う。
 『都市民俗学 ―都市のフォークソサエティー―』で、都市の常民性について以下のように書かれている。

 都市に住み生活する人々の常民性とは何かといったこの問い掛けに対して、その場合の常民とは、いわゆる都市に住む人々の中でも一握りの民間伝承保持者といった個人的レベルで捉えられるものではなく、不特定多数の伝承的言動パターンのようなものを想定することができないであろうか。(p.6)

都市の常民論を考えたならば、一つにはマスすなわち大衆の文化、言動パターンを対象としなければならないように思われる。(p.6)

 都市の常民について考える場合には、大衆の文化や言動パターンを見る必要があることについて触れられている。この大衆については、ホセ・オルテガ・イ・ガセー氏の「大衆とは、特別な資質を持っていない人々の総体であり、平均人のことなのである」という規定から、「無名性が強調されると同時に自己判断というか、個人的な思考言動の行為はあまり顕著でなく、マス・メディアの影響を受けやすく、世相流行に従った所謂「軽文化」に生きる人々」(p.7)としている。
 私はここから現代の若者を想定し、先の色彩との関係を考えてそのファッション文化を取り上げたいと思った。

 今回はストリートスナップという、街にいる一般人の服装や着こなしを撮影した写真を都市ごとに見ていこうと考えている。画像は「スタイルアリーナ」という東京のストリートファッションをテーマにした情報サイトから、原宿・渋谷・表参道・代官山の4都市のものを利用する。(別紙資料⑥⑦⑧⑨)

 原宿では特に青色が目立つ傾向にある。今回使用した写真では大体同じトーンの色の服が見られるが、淡い水色から群青色まで様々な青色が見られた。他にグレーやベージュなどのような薄い色合いの組み合わせが多く、その中に青や赤、黒が断片的に取り入れられている。
 渋谷では白・黒を基調とした人と、鮮やかな色、特に赤を基調とした人に分かれている傾向が見える。中でも黒が非常に多くなっており、鮮やかな色を用いる人は少ない。また淡い色が使われている様子もあまり見られなかった。
 表参道では青・茶・白・黒が多いように感じられる。これは原宿の色合いに似ているが、それよりも更に濃い色合いになっているのではないかと思う。
 代官山は、他の3都市とは大きく違っており、非常に多彩な色を見てとることが出来た。一部、原宿や渋谷と似た色彩も見られるが、最も鮮やかな色が用いられているのが代官山の特徴だといえる。

 ファッションに関する分析はその時々の流行や世相からの影響もあると考えられるし、ストリートスナップを撮影する側の意図も含まれているだろうが、4都市の間には少しずつ違いが見られたのではないかと思う。こうした違いはその都市にいる人々が無意識的に作り出したものかも知れないし、撮影する側が都市のイメージに合った人を選んだのかも知れないが、確かにその都市にあったファッション性というものがあるのではないだろうか。

 こうした流行やファッション性は、江戸の「イキ(粋)」や「ダテ(伊達)」に通じるものがあるのではないかと考える。「イキ」「ダテ」という気質は都市以外の場所から見れば批判されたり、素晴らしいものとして扱ってもらえなかったりすることがあるが、都市ではこれが「ファッショナブル」という価値認識をともなったものとして重要視されてきたという。
 ファッショナブルな気質とは、都市の非定住性からくる不安心理の反映としてだけではなく、都市の民俗化現象が集団の流動的な適応的性格に依拠していることから、「常に本質的にカルチャーショックを受けている時代認識の先取りといった価値と、無数に分裂しふくれあがったコミュニティのそれぞれの情報価値とを反映したものとみるのが適切」(p.120-121)なのではないかと考えられる。


4. まとめ

 私が都市について考える際に印象に残った一文が『非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパークⅧ』の中にある。「おれたちの時代は、同じ街のなかに発展段階の異なる別な国がある。」(p.59)という部分である。東京全体を見たとき、都市によって異なる色彩環境を持っており、一見、画一化された都市の中にも様々な違いがあることがわかった。
 このような色彩環境について、小林忠雄氏は次のように述べている。

都市の民俗社会を考えるにおいて、いわば都市のステータスシンボルとしての意味も含まれ、それを享受することが都市への帰属意識を高めることにもなるのであろう。(p.226)

 また小林忠雄氏は文化集団と都市祭の関係の部分では、より一層その参加が見られるようになり、将来において定着するのではないかと考えている。これは本来、非定住民的な不安心理を持っている都市民にとって政治との結びつきは安定性を生み、都市定住の新たな価値体系を見出すことが出来るのではないかというところからきている。

 私は都市と人とが結びつく要因に、この政治と集団のつながりだけではなく、文化と集団のつながりもあるのではないかと考えた。今回このレポートで見てきたような色彩や、都市のイメージ、ファッショナブルな気質というものによって都市と人とが互いに影響を与えあうことがあるのではないだろうか。特に若年層の人々は流行や周囲の色彩環境に溶け込もうとすることで都市とのつながりを表し、都市の常民となる足がかりを作ろうとしているのではないかと考えた。

〈参考文献〉

小林忠雄    『都市民俗学 ―都市のフォークソサエティー―』 名著出版/1990年
石田衣良  『灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパークVI』 文藝春秋/2006年
『Gボーイズ冬戦争 池袋ウエストゲートパークVII』 文藝春秋/2007年
『非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパークVIII』 文藝春秋/2008年
『ドラゴン・ティアーズ 池袋ウエストゲートパークIX』 文藝春秋/2009年

google画像検索
Wikipedia
スタイルアリーナ

2ちゃんねる「【色】都市のイメージカラー【色】」
OKWave「主要都市や地域を「色」で例えるとしたら?【イメージカラー】」
Yahoo! JAPAN知恵袋「全国の都市のイメージカラー」


資料1

 ① google画像検索「池袋 風景」1ページ目
池袋

② google画像検索「池袋 風景」2ページ目
池袋2

資料2

 ③ google画像検索「東京 風景」1ページ目
東京

④ 山手線 (画像引用:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E6%89%8B%E7%B7%9A)
 ⑤ 巨人軍イメージカラー (画像引用:http://www.giants.jp/)
山手線

資料3

 ⑥ ストリートスナップ 原宿
原宿

⑦ ストリートスナップ 渋谷
渋谷

資料4

 ⑧ ストリートスナップ 表参道
表参道

⑨ ストリートスナップ 代官山
代官山









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