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『異人論』(著:小松和彦) 読後レポート

学生たちこんなことしてます! 2012/04/03

赤字は教員のコメント、青字は引用です。



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I. 「異人」とは何か
1. 異人の意味

広辞苑で引くと、「①普通とは違った人。優れた人。②違う人。別人。③不可思議な術を行う人。仙人。④外国人。。をトル注として『広辞苑』の書誌情報を書くとある。『異人論』では主に①や③に近い六部、座頭、山伏、巫女や、神霊、妖怪について書かれている。
2. 「異人殺し」について
本書では昔話や伝承に見られた「異人殺し」について纏められている。異人を殺す理由としては金品を強奪し栄える為というものや人柱にするためというものがあるが、「異人殺し」で重要なのは、結果としてその家に祟りが起こるというものである。本書の中で草刈が座頭を殺したことで祟りが起こったという事例について「この伝説は、草刈の子孫に発生する眼病の原因を、殺した座頭たちの呪いによるのだ、と説明する伝説でもある」(P.20)とある。
また、このような「異常」は異人を殺したことで家が栄えた人間への、そうではない人々の嫉妬を買い、「「異人殺し」を発生させることで、人びとはその家の盛衰という「異常」、子孫に生じた肉体的・精神的「異常」をうまく説明することができ、自分達の嫉妬の念をいやすことができた」(P.36)うえに、「その家は、罪のない「異人」を殺した邪悪な犯人の家であり、殺した「異人」に呪われ祟られている家なのだとすることで、その家をさまざまな形で忌避し排除し差別することさえ可能となるであろう」(P.36)と著されている。
3. 異人のタイプ

いきなり箇条書きではなく説明が必要。文章化した方がよくはないか?
(1) 民俗社会内部での盛衰の象徴であり、忌避・差別はされない(例:座敷ワラシ)
(2) 民俗社会内部での盛衰の象徴だが、忌避・差別を受ける(例:憑きもの)
(3) 民俗社会外部に盛衰の象徴であり、忌避・差別されない(例:竜宮童子)
(4) 民俗社会外部に盛衰の象徴であり、忌避・差別される(例:異人殺し)

II. 異人に関する説話
1. 異人としての女性像
大橋秀雄氏によると女の性質を持った異人として挙げられた「山姥」は母性を欠いた母のイメージであるとされる。
ここに大橋秀雄のどんな著作か、注をまた、S.オートナー氏によると社会や歴史の中心にいるのが男性であり、女性がより「自然」に近い存在とされるのは
① 出産・月経などにより男性より強く生物学的条件下にある
② 授乳・幼児の養育といった社会的役割がある
③ 具体的で主観的・情緒的な為、社会制度を維持することに向いていない
といった理由を挙げている。
以上の事を受けて著者は、女性が「文化」を生み出せる男性を出産出来るという「自然」を所有しており、「自然に深く根ざした女性のこの根源的な力が、この絶対的な裂け目が、男たちを恐怖させ、いらだたせ、女性を日常生活の中心から排除し、それをコントロールするための社会権力を男たちに生み出すようにそそのかす」(P.121)とまとめ、また、男性が文化の深層で女性という存在へ恐怖心を抱き、「自然」に近く潜在的な「他者」としたのではないかと述べている。
2. 異類婚姻を主題とした昔話「猿聟入」
(1) 昔話の中から読み取れる事
「猿聟入」は“三人の娘を持った爺が辛い畑仕事を手伝ってくれるなら娘を嫁に呉れてやる、という呟きを聞いた猿が仕事を片付けてしまった為、爺が上二人の娘に猿の嫁になるように頼むが断られてしまう。そこで親想いの末娘が猿の嫁になるが、娘は猿を上手くだまして谷川の急流に落とし、大喜びで家に帰って親孝行をして幸せに暮らした”という内容である。道徳的に読めば子どもは親に従い、時に親の犠牲にもならねばならないが、そうすればやがて幸福になれる教訓としてとらえられる。しかし本質や主題を追求すると、正当な手続きを経て手に入れた嫁が聟を裏切り殺してしまったことがもっとも重要であることが分かる。
このように昔話からは言葉に隠された意味を読み取ったり、他の異類聟譚の昔話と比較して歴史的前後関係を見出したり、猿という共通したモチーフを持った昔話や説話を広い視座から試みたりできる。
(2) 「猿聟入」の構造
爺と三人の娘が暮らす「人間の社会」と猿が暮らす「異類異形」の二つの異なる社会が交渉する物語である。さらに「人間の社会」の中では上二人の娘は親の頼みを聞かず、ある種対立している関係であるのに対し、末娘は親想いで自らの身を犠牲にしても親を助けようとする親和的な関係である。猿の嫁となった娘が猿聟を裏切り殺した背景には「人間の社会」という括りの中にいた爺との強い親子の絆で結ばれていたためであり、末娘が親孝行のために嫁入り話を引き受け、猿の嫁になることを承諾することで起こる親への裏切りを解消するために猿聟を殺したのである。
また、猿は爺には辛い畑仕事をすぐに片付けることができる普通の人間とは異なった存在、異類世界に属する者であった。しかし自身の努力と正当な等価交換で得た娘のために頼みを聞き、気に入ってもらおうとする心優しい猿であるにもかかわらず
娘に裏切られて娘も命も失ってしまう。上の事例とは違っているこの事実は「猿聟は知恵の無い愚か者であるのに対して、人間である嫁は豊かな知恵をもっていた。だから、その知恵を働かせて窮地=<ダブル・バインド状況>を克服できたのだ、と。つまり知恵ある者こそが人生の勝利者だと暗にほのめかしているのである」(P.155)と指摘している

III. 「マレビト」と「祖霊」から考察した異人論
1. 「マレビト」の概念
鈴木満男氏は
① 神話としてのマレビト(トコヨから神霊が来て村人に祝福や訓戒を与えることで村人の生活の安泰がなされるという観念の来訪する神)
② 歴史としてのマレビト(神を背負って村々を巡り歩いて祝福を与える放浪の神人であるホカヒビト、芸能者であるマレビト)
の二つの概念に分けた。
これも鈴木満男のどんな著書か注が必要
これをうけて著者は、①のマレビト概念は村人が神に扮する儀礼から生まれた儀式上のマレビト、②のマレビト概念は日本各地の村々を訪れてきた芸人や宗教者や乞食などの姿から生まれた異人としてのマレビトだとしている。
2. 「祖霊」の概念
かつて人間であった者が、死後にその子孫たちに祀られたものであるため、共同体を構成する複数の親族集団に祀られた祖霊はそれぞれ異なる。
3. 「マレビト」と「祖霊」の関係性
折口信夫は一村がすべて同じ一族であった場合の来訪神は祖霊であり、共同体だった場合の来訪神は祖霊的神格を失ったマレビトであるとしている。
これも折口の著書の何ページかなど注がいるそして時代が下るにつれてマレビトは村の家々を訪ね祝福する神や鬼の姿となり、さらには祝福を祝言職が担い、なかには追放されるだけの鬼となるものも出てきた。

IV. 妖怪と異人
1. 妖怪とは何か
山の民、川の民、狩猟民、遊行的宗教者、海の民などの異人性がある。妖怪とは日本の文化の裏の部分に根をおろしているようなところがあり、わけのわからないもの、正体のつかめないものであるためはっきりと説明はできない。
2. 妖怪の特徴
① 祭祀されない超自然的な存在…著者は災いをなす神、祀られていない超自然的な存在を妖怪とし、「日本の妖怪というものは流動的・可変的性格をもっているようです」(P.235)と書いている。
② 異類異形、他者的存在…つねに外側の領域の存在であり、集団もしくはカテゴリーを形成している。
③ 恐怖を引き起こす…具体的な危害を与えなくても人々は妖怪に対して恐怖心を持つが、具体的な形で現実化されると攻撃に対する恐怖に変わる。
④ 人間に対する恨みや嫉みが原因で災厄をもたらす…日本の妖怪は人間に対して祟りや恨みという敵意を持つと信じられ、恨みをもとにして出現あるいは発生する傾向がある。
3. 妖怪の異類異形性
異類異形性とは、普通の人間の姿と異なる鬼、怪物、動物や、人間であっても自分達が聞いた事の無い言語を使ったり、違う服装、生活をしていたりする人を指す。中世になって増加した、鍋、行灯、水だらいなどの道具と鬼や動物を重ねてできた妖怪観の背景には化けるという考え方が発達したと思われる。
4. 妖怪の他者性
昔話の中に多く見られる妖怪の子の判断は身体の異常によるものだった。奇形児は妖怪、化物、天狗、鬼の子とされて外側の世界に送り返すために民俗社会から排除、抹殺されてしまう。しかしこちら側の共同体はすべてを妖怪としたわけではなく、時には共同体の中に吸収しようともしていた。
内部と外部は二つの側面から見ることができ、
① 妖怪を含めた社会集団に対する内と外
どこかにある二つの極の間で内外を区別する分岐点・境界点が関係のとらえ方によって動く
(例:宇治の橋姫…普通の妻が何らかの契機で鬼に変わる)
② 空間的な内と外
死後の世界のような絶対的な他界や庭、神の間、座敷、便所、納屋などの外の空間と人間の家のカマドや囲炉裏のような外部にならない内部。またはしめ縄など時に応じて内と外の区別が変化する。
(例:『春日権現絵巻』の妖怪…屋根の上から家の中を覗いている)
③ 時間軸における内と外
昼は妖怪が現れず、夜は妖怪が現れるとすると、昼は内側に属する時間、夜は外側に属する時間である。
5. 妖怪の背景にあるもの
妖怪というものの異常性の背後には異人、異なる職業の集団が見え隠れしている。例:河童…土木、建築、治水工事に従う川の民
  山の神・山姥…修験者、木地師、焼畑民などの山の民
つまり妖怪とは民俗社会の伝承の中の想像上のものだけではなく、農民主体の民俗社会集団が妖怪視した例に挙げたような人々も含まれるのである。
異類婚姻の裏側にも婚姻を否定する根底に異人への悪意や殺意などが隠されているようにみえ、異人を妖怪視する意識が存在する。「よく知られた河童という妖怪にも、「異人」に対する偏見や“差別”の意識が働いていたのをみると、つくづく差別意識の根深さに戦慄せざるをえません」(P.262)と著者は述べている。

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