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「面浮立」について

学生たちこんなことしてます! 2011/04/03

すぐれた入学前教育課題で提出されたレポートを掲載しています。赤字は教員のコメント、青字は引用です。

「面浮立」について
T.K

1.はじめに
私の住む佐賀県鹿島市は佐賀県内で最も民俗芸能の多い市で、現在66もの民俗芸能がある。そのほとんどが「浮立」と呼ばれるもので、私もその中の「面浮立」と呼ばれる芸能を幼い頃から続けている。この「面浮立」は佐賀を代表する民俗芸能として全国的にも有名だが、その起源は諸説あり、今なお多くの謎に包まれている。今回私は、そんな謎に満ちた面浮立についてレポートしてみようと思う。

 普通レポートは「私は」と書き出すものではないが、ここでは「はじめに」に限って使っている。モチーフとなったことを明らかにするためで、このような書き方は間違っていない。

2.「浮立」とは何か
面浮立について述べる前に「浮立」について説明したいと思う。浮立とはもともと風情のあるものである『風流』に通じ、祭りの行列の中で華やかな部分が独立して演じられるようになったものである。佐賀県内に伝承されている民俗芸能は、その大半が浮立であって、浮立以外の芸能は非常に少ない。伝承されている浮立には、面浮立』『一声浮立(皮浮立)』『鉦浮立』『玄蕃一流浮立(天竺舞・天月舞・天衝舞)』『行列浮立』『獅子浮立』『舞浮立・踊浮立』『武士浮立』『動物浮立すべて「 」でよいなどがあり、この他に旧武雄領内に伝承されている荒踊・山内町のかんこ踊・太良町の川原狂言なども浮立系統の芸能である。また、浮立と呼ばれていない芸能もその多くは浮立化していて、浮立の数は非常に多い。このうち鹿島市に伝承されている芸能は、面浮立』『鉦浮立』『一声浮立』『獅子浮立』これも二重括弧の必要はないの4つがある。県内で現在伝承されている芸能をおおまかに分けると、笛・太鼓・鉦などの楽器を用いて囃す囃子そのもの、または笛・太鼓・鉦などの囃子に合わせて所作をなす踊りや舞を浮立と呼んでいる。


3.面浮立とは
 現在鹿島市に現存する面浮立は二種類ある。最も古いかたちを残しているといわれる音成面浮立の流れを組むものと、鬼面芸として完成された芸と構成を持っている母ヶ浦面浮立の流れを組むものだ。この二つはそれぞれの代表的な面浮立として、いずれも佐賀県の重要無形文化財に指定されている。
面浮立とは、かけうちと呼ばれる踊り手が赫熊のついた鬼の面を被り、腹に小太鼓をかけて打ちながら笛・大太鼓・鉦の音色に合わせて踊るものであり、これはどの面浮立においても共通している。では二つの面浮立は具体的にどこが違っているのか。一目でわかる違いは衣装にある。音成の衣装は濃紺一色で帯と太鼓の紐が黄色でアクセントになっているのに対し、母ヶ浦は波と碇の華やかな模様の衣装になっている。
鹿島市では伝承された25地区の内、音成系の面浮立は5地区、母ヶ浦系の面浮立は20地区と、母ヶ浦系の面浮立の方が多く分布していることがわかった。
 面浮立とは本来9月に行われる秋祭りで豊作祈願のために奉納されるので、今の時期(2月現在)は活動されておらず、音成・母ヶ浦の両地区の方にインタビューが出来ずに残念な結果で終わった。そのかわりといってはなんだが、今の時期にも活動をされていた母ヶ浦系の流れを組む行成地区の面浮立保存会の方々にお話を伺うことができた。
聞き取りの部分は引用などと同じで地の文と区別した方が良い。話者の名前、あるいはイニシャル、年齢などを添えておくとよい。
 行成面浮立は、面浮立に関する文書記録が一切無く、伝承は全て口碑よるものなので伝承経路が全くの不明であり、いつから伝承されているのかも定かではないそうだ。しかし、各々の家に代々保管されてきた鬼面や衣装の状態を見る限り、200年ほど前から伝承されてきたのではないだろうかとおっしゃられていた。
 また、面浮立とはひとつの物語になっていることを教えていただいた。
登場人物は様々な災い、特に農耕の災害をもたらす悪の化身の『鬼』と、神社に祭られている神様で、まず鬼は神様と対決するために神社へと向かう。そして神社では神様と鬼の壮絶な戦いが繰り広げられ、最後には鬼が負け、改心する。鬼は今までの償いに法楽を踊り、神様を楽しませ、その後、鬼は神の使いとなって里に下り、家々に幸いをもたらすのだそうだ。
 そして、神社で面浮立を奉納する際に鬼の面を被っている間は鳥居の下をくぐっても構わないが、面を外すと鳥居の下をくぐってはいけないらしい。それは鳥居が神様の通り道であり、神様以外の者が通ることが許されていないからだそうだ。しかし、鬼の面を被ることで神の使いとなり鳥居の下をくぐることが出来るようになるとのこと。

確かに鳥居は神様の通り道だから鳥居の脇を通りなさいと以前母から言われたことがあったので、今回のこの話はとても興味深かった。

田中丸1               田中丸2
波に碇綱の模様の衣装        雌面の鬼面に紺の赫熊

4.面浮立の構成
 面浮立は一般的に大きく分けて3つの部分から構成されている。
鬼が神前に乗り込むまでの道中を奉願道、神前での神事的な芸能、いわゆる神との戦いを神の前、余興的な要素を持っている法楽のみつがさね、しんぶりゅう、おのだけなどの3つだ。
古い要素を残す音成面浮立はこの法楽の部分の曲がなく、他の地区の面浮立は、この法楽の部分に多くの曲目が取り入れられていて、各地区によって異なっていることが多いのもこの法楽の部分である。
 また、面浮立は様々な役割の出演者で成り立っている。主な出演者の役割と衣装は次のとおりである。
かけうち……赫熊のついた鬼面を被り、腹に小太鼓をかけて打ちながら踊る踊り手のこと。衣装は、音成系の面浮立は濃紺の木綿の襦袢と股引を着て、黄色の帯締めをつける。母ヶ浦系の面浮立は波に碇などの模様のついた法被と白い股引を着る。
かねうち……名前のとおり鉦を打つ係の女性のこと。1つの鉦を2人で持ち、拍子に合わせて2人同時に鉦を叩く。衣装は、各地区で異なっているが、頭に花笠を被って手拭いで顔をおおっていることは共通してかねうちの特徴である。
*花笠は、い草を直径50㎝位に編んで作った円形を2つ折りにして掛紐をつけ、赤・黄・緑・青・紅白の七夕紙を色違いに2~3枚重ねて三つ折りにして3段~4段にさして飾ったもの。(画像参照)
大太鼓打ち……名前のとおり大太鼓を打つ係のことで、人数は1名。衣装は、各地区で異なる。
笛吹き……名前のとおり笛を吹く係のこと。衣装は、各地区で異なる。
鳥毛……先に麻の毛のついた長い棒(鳥毛)を2人1組で受け渡しながら踊るもので、大名行列を模したものと考えられる。衣装は、音成系の面浮の場合はかねうちと同じですが、母ヶ浦系の面浮立では大名行列の奴のような衣装をつけている。
『』はすべて「」の方がよい。

田中丸3

5.面浮立の分布と起源
田中丸4
佐賀県内における面浮立の分布状況は県南西部の、鹿島市・太良町・嬉野市・杵島郡・武雄市・多久市・小城市そして佐賀市の一部にまで分布している。分布の密度が最も高いのは鹿島市で、25地区において伝承された形跡が認められる。その鹿島市の中でも七浦地区に集中していて、そこから離れるにしたがって太良町・嬉野市嬉野町・小城市芦刈町の順に分布の密度が少なくなる傾向がみられ、このことから鹿島市七浦地区の面浮立が各地に広がったのではないかと考えられる。*図は「音成の面浮立」』ここは文献なので二重括弧に(鹿島市教育委員会)より
 面浮立の起源は前述した通り、諸説ある。これは面浮立に関する文書記録の残存するものが極めて少ないからだ。その中でも『中国の大内勢との合戦に由来する説』が強く言われているようである。この合戦は、約400年ほど前に中国地方から侵略してきた大内氏を、竜造寺氏が神埼郡の田手縄手という場所で迎え撃った際に、戦況的に不利な状況になり、負け戦を覚悟したとき、竜造寺氏配下の鍋島平右衛門が赫熊(シャグマ)を被った一族郎党百騎余をひっさげて奇襲をかけ敵を撃退した戦勝祝い踊りが元になっているという説だ。
この他にも、豊後の大友勢との合戦に由来する説』『、朝鮮の役に由来する説などがある。しかし、有力視されている大内勢との合戦大友勢との合戦』ここらもすべて「」でよいに由来する説の記録には「赫熊を被って」とは書いてあるが、「鬼面をつけて」とは書かれていない。また芸能の中心地である鹿島市七浦地区と神埼との繋がりもわかっていない。また、七浦地区の中で最も歴史の古い飯田地区には「面浮立は長崎県の諫早から伝わった」という伝承も残っている。先述した行成地区で聞いた話もあるので、おそらくは農耕に伴い、耕作に害をする悪霊を封じ込め、豊作を願う神事として面浮立が出来たのではないだろうか。


6.おわりに
私は以前にも個人的に面浮立について調べたことがあったのだが、前回とは比べ物にならないくらいに多くのことを調べ、知ることが出来た。いかに以前の自分の調べ方が甘かったかは強く実感し、幼い頃から面浮立を続けているにも関わらず知らないことが多くて驚いた。今回のレポートで再度面浮立について調べてみて、新たに多くのことを知ることが出来たので、本当に良かった。今後こういった機会に恵まれたら、他県の民俗芸能についても調べてみたいと思う。


参考文献 『音成の面浮立』鹿島市教育委員会、出版年等ちゃんとデータを書いておくこと。子どものころから関わっている郷土芸能を改めて調べてみて、バランス良くまとめています。できれば保存会の組織とか社会的な面についても書いていればよりよいレポートになったはずです。



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