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『異人論』読後レポート

学生たちこんなことしてます! 2012/08/16

ネット文書では見やすくするために、教員コメントは赤、引用は青字にしている。しかし、レポート等では、黒で印字し、引用は括弧でくくるか、2字下げるなどして地の文と区別できるようにすること。

M.I
(1)はじめに
 私は初めて民俗学の専門的な著書を読んだ。
 そこで感じたのは、「異人」とは様々な媒体や解釈によって成り立っており、単に一つのくくりにまとめられるものではないということである。伝説の裏に隠された異人殺しには人間の恐ろしい欲望が渦巻いていた。

(2)異人殺し
 本書には数多くの異人殺しの事例が掲載されているが、その事例のほとんどの背景が、自分たちの暮らしをよくするために異人の所持している金品目当てに行われている。欲望とは、今も昔も人間を簡単に変貌させてしまう恐ろしいものであると改めて感じた。
 確かに、不定期に定住民の社会を訪問する六部や座頭などを殺しても、咎めるものはそうはいないだろう。しかし、いかなる理由があったとしても、異人殺しが公然と語りうる
(得ない)事柄であることはいうまでもないことである。本書に、「このため民俗社会は『異人殺し』という“事実”を外部の者に隠蔽する努力を試みることになる」(P23.6)とあるように、村人は異人殺しがあったという事実を語ることをタブーとし、“事実”を変形させた外部向けの伝説を作りあげるに至ったのである。
それらの伝説は、いずれも異人側に非があったと述べており、殺人を正当化しようとしているものが多い。それについて著者は、「しかし、異人殺しののちに祟りがあったことや、殺されるときに呪いの言葉を吐いていること、『異人殺し』の伝説が外部の者に語られるとき、しばしば話の内容に変形が加えられること、殺された異人の怨霊を鎮めるために(つまり、神仏に祀り上げるために)塚が建てられたらしいことなどから推測すれば、これらの伝説の背後に罪のない異人に対する〈殺意〉が隠されているように私には思えてならないのだ」(P22.14)と述べており、村人たちの間で語られた伝説は、これとはもう少し違ったものであったのではないだろうかと考えられる。
 そしてそれらの事柄は、全国各地で代々語り継がれ、書物に記されたことなどによって、今でも多くの伝説がその土地に残り続けているのである。

(3)「異人」として語られる女性像
 本書にはミクロネシアのヤップ島の東北に位置する太平洋上に浮かぶウリシー環礁のモグモグ島において採集された昔話、「鉄の歯」をもつ妖怪「ンギ・パラン」が登場する。
 この昔話を文化的な観点から評価すると、「ヴァギナ・デンタータ」(歯の生えた膣)に分類される。これらのモティーフは、アジアやアメリカ大陸などで多くみられるが諸説あり、ウリシーで採集されたこの昔話は素朴に文化的考察を加えれば、この種の説話が豊富な台湾を中心とする東南アジアの海岸部から伝播したということになるのである。本書の中で金関丈夫の「ヴァギナ・デンタータ」の説話には抜歯の習慣が関係しているという仮説が紹介されている。確かにこの解釈は検討に値するものであるが、ウリシーに以前抜歯の習慣があったという事実が確認されていない点や、昔話の結末が大きく異なっている点で、小松氏はこの解釈を不服としている。
 そして小松氏は、ウリシーの「ンギ・パラン」の昔話と日本に広く見出される「三人兄弟・化物退治」型の昔話が驚くほど類似した形態論的構造を示していることを発見した。
 この三兄弟型の物語に登場する化物は、美しい女に化けた大蛇、鬼、鬼婆、大ムジナ、大きな虻、沼の神など様々であるが、その中でも圧倒的に多いのが鬼婆や美しい女、大蛇などである。私たちも一度は聞いたことがあるように、日本の民俗社会では山に山姥が棲むと考えられていた。この考えが出来た理由とすると、折口信夫の「本来は山の神に仕える巫女のイメージの零落したもの」あるいは、柳田国男が説く「平地民とは異なる生活形態をもった『山の民』の女や発狂して山に入った女、山の民にさらわれてその妻になった女などについての伝承から生じたもの」とする説などが有力なものとされている。
 今現在でもあるように、女性は男性より弱いと思われがちである。それゆえに山に入った男たちは化物の化けた美しいい女に性的欲求をもって接触してしまうのではないだろうか。子のように美しい女がまさか化物だとは誰も思わないだろう。
 そして女性は男性よりも「自然」に近い存在とされてきた。それについて象徴論的女性研究を展開しているおートナーは理由を三つ述べている。
「第一の理由は生理的レベルに属するもので、女性は、出産・月経など男性がもたない生理機能をもつことによって、男性よりも強く生物学的条件に支配されている」「第二の理由は社会的なもので、女性には出産・授乳・幼児の養育といった社会的役割がゆだねられている。これは社会的役割であるが同時にまた生物学的にみても女性の役割であって、それゆえに女性は男性に比べて家庭内の仕事に結び付けられ、公的な場から排除されている」「第三の理由は心理的なものである。女性の心理は、その社会的役割や社会化の過程あるいは月経などの生理的条件などを通じて、男性よりも具体的で主観的・情緒的な傾向が強く、したがって社会制度を維持し展開させていくのに必要な客観的・抽象的能力は男性より劣っている」(P118.13)
これをふまえ、山口昌男は、男性によって排除されつつ依拠される両義的存在としての女性の宇宙論的役割についての徹底的な考察を展開した。彼は、女性は潜在的「異人」の役割を担わされているとし、女性がコントロールできない「自然」を有しているから、男性はそれに対して恐怖を覚え、根源的力に対する恐怖をコントロールするために、その力に近い存在を排除するための機構をつくろうとすることこそが権力の起源であると述べている。これにより、当時の男性の女性に対する恐怖が大きかったということが分かった。

(4)妖怪について
 妖怪とはなにかと聞かれて、すぐに思いつくものはアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」などに登場する妖怪であって、私たちにとって身近なものではないだろう。それに、妖怪と一口にいっても、鬼であったり神的なものであったり、人型のものであったり、架空の生物であったり、小松氏の著書
百鬼夜行絵巻の謎』(単行本は二重括弧にいれる)(P116.6) にもあるように、食器や楽器、動物、植物、魚介類などを擬人化したものも含まれている。
それら多くの妖怪たちがどのような経緯で誕生したのか、その舞台裏や背景など非常に興味深い。大学で勉強するのが楽しみである。

(5)最後に
 初めて民俗学の専門書を読んで内容を全て理解することは難しかったが、誰もが知っている昔話の裏に隠された謎や妖怪の伝説が語られることとなた背景など非常に興味を持つことがたくさんあった。今までは地元熊本の妖怪伝説などにあまり関心が無かったが、河童伝説など数多くの伝説が多く
(二重表現)残されているようなので、それらの伝説を中心にこれから研究していこうと思った。
 そしてそれらの研究をしていくなかで、再び本書を読み、今とは違った視点で見ることができる日が楽しみである。

 
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